ミレニアム世代が世界を変える?(2)

今回も前回に続き、ミレニアムズ(米国の若者)のレポートを取り上げたいと思います。

 

■社会貢献が人生の目標

 フォーブス誌に2015年に掲載された、ミレニアルズ(「ミレニアルズ」とは、「1000年間の」という意味を持つ「ミレニアル」を語源とする造語。1980~90年代に生まれ、2000年以降に成人となった、現在の20~35歳くらいの米国の若者のことを指す)が働きたい会社トップ10を見ると、興味深い傾向がわかる。

 10位 Childrens Health Care Of Atlanta

 9位 Health Care Service Corp

 8位 CIA

 7位 Microsoft

 6位 Local Hospital

 5位 FBI

 4位 APPLE

 3位 Sr. Jude Childrens Research Hospital

 2位 Walt Disney Company

 1位 Google

 1位グーグル、2位ウォルト・ディズニー、4位アップル、7位マイクロソフト、この4つは当然にしても、注目して欲しいのは3位の聖ジュード小児病院(St. Jude Childrens Research Hospital)。ここが重病の子供を無償で診療する大病院。これを筆頭にトップ10のうち4つが病院などのヘルスケア関連。理由として考えられるのは、64%のミレニアルズが「世界をよりよい場所にするために働く」のが第1目的と答えていること(Intelligence Group」調査)

 そんな中でミレニアルズが注目しているのはノンプロフィット・オーガニゼーション(NPO:非営利団体)。米国のNPOは製造業、小売業に続き全米3位の巨大な産業で、職種も多岐にわたっていますちなみに上記にランクインしている2つの小児病院はNPOのジャンルに入る)

 背景にあるもの

 彼らのには「アメリカンドリームは失われ、一生懸命働いたからといって金持ちになれるとは限らない」という考えがある。「だったら、給料は安くてもいいから社会の、人のためになる仕事をしたい」。これが仕事を選ぶ基準は「人生における使命感」という考え方に繋がっているのかもしれない。(もちろん、就職難で比較的入りやすいNPOを選ぶ人がいるのも、またひとつのサバイバルの形。)

 NPOは、米国の資本主義経済の中でとり残されがちな部分をカバーすることが大きなミッションとなっており、格差が拡大する今、その役割はますます大きくなっていくと思われる。

 ■ もともとボランティア志向が強いミレニアルズ

 米国の国勢調査を分析したデータによれば、2014年には30歳以下の若者の20%がボランティアをしたと答え、1989年の13%から大きく伸びました。しかもこの数字はまだ伸びると予測されている。

 米国はもともと、キリスト教の理念に基づくチャリティやボランティア志向が強い人が多い国でもあるが、ミレニアルズの世代には学校単位のボランティアが普通になり、ボランティアをすることで授業の単位がもらえるなど、まさに生活の中に溶け込んでいる。

 ■ ベネフィット・コーポレーションの台頭

 ミレニアルズの起業家志向と、社会貢献意識が結びついて注目されている「ベネフィット・コーポレーション」。

 これはNPOではなく、利益を追求する株式会社でありながら、会社の定款に「社会貢献」を掲げ、利益の一部をチャリティーや地球環境を守るノンプロフィットなどに寄付することをうたっている

こうしてミレニアルズの社会、職業意識を見てくると、決して将来に対して悲観的にならず、たくましくサバイバルするミレニアルズの素顔が浮かび上がってきている。

 ピュー研究所のデータでは、ミレニアルズの過半数(51)は、自分が引退した時に、自分の親世代が持っているレベルの連邦政府の年金はもらえないだろうと考えている。(この点は、日本の若者の近いかもしれない。)

 一方、「政府はもっと社会的なプログラムに力を入れるべきだ」と考える人が過半数(53)いて、これはジェネレーションX(35歳から50歳まで)36%、ベビーブーマー(51歳から70歳まで)28%に比べるとダントツに高くなっている。

アメリカンドリームの未来が危ぶまれている今、サバイバルするミレニアルズによって、米国社会や価値観も変わろうとしている。

 (以上)

 

いかがだろうか?ドラッカーも生前は21世紀はNPOまたはNGOの時代になる」と予言していたことは有名。

「成果を上げ、自分が成功すればいい。」という考えが、必ずしも正しいといえない時代になってきている。

旧来の成功哲学も新しい概念のものが求められ始めている。

 我々は、価値観の大転換の時代に生きているのかもしれない。

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