11月の風の便り

最近、書店で「老後破産」という本が売れているそうです。

これは、昨年、NHKで放送された「老人漂流社会”老後破産”の現実」というテレビ番組がベースになっています。私も読みましたが、かなり現実味があって非常に怖かったです。

 

「老後破産する11の原因」

人間誰しも「老後破産したい」なんて思いませ。しかし、その思いとは裏腹に老後破産は訪れるもののようです。

 

 ①面倒を見てくれると思っていた一人息子()が亡くなるケース

これはNHKスペシャルで実例として実際に放送されていた事例です。元々あんまり老後の事は考えていなくて、漠然と一人息子が面倒を見てくれるだろうと思っていたらその一人息子が突然亡くなってしまったというお話。死亡保険金が有ったり、遺族厚生年金を貰えるのであればまだ緩和されるでしょうが、そもそも一人息子()に配偶者や子供がいる場合は配分が少なくなってしまいますし、子供に老後を頼むってのが現代では現実的ではないですね。(遺族年金は親は貰えない仕組みですし。)

 

②人生の後半で事業で失敗するケース

こちらもNHKスペシャルで放送されていました。これは自分が事業で失敗して借金が残って老後破産する場合も有りますし、自分の家族が事業に失敗して多額の借金が残ってしまい、その支払いに追われるというケースも有ります。

借金が残っても自己破産して一からやればいいやって事にもなるんですが、一人身の人が50くらいから事業を興すのは確かにリスキー。事業投資で今までの貯金も無くなるでしょうし、自己破産したところで高齢では再就職先もなかなか見つかりません。

 

③年金が想像以上に少ないor貰えないケース

国民年金は40年間納めても満額で月額で6.6万円くらいしか貰えません。「これで生活を」言われても無理な話。

 

④生活保護を貰えないケース

(NHKスペシャルのページの一部引用)

高齢者人口がすでに3300万を突破し、超高齢社会となった日本。とりわけ深刻なのが、600万人を超えようとする、独り暮らしの高齢者の問題。その半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかないという。高齢者で生活保護を受けているのは70万人ほど、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしている。 一人暮らしの高齢者で、年金収入が無いのに生活保護を受けていない人が200万人以上もいるそうです。

生活保護を受けるに当たって、「扶養照会」と呼ばれる調査を役所が行います。これは生活保護受給希望者に親族がいる場合に、まずその親族が受給希望者を扶養できないのか?を調べる手続きです。この扶養照会の親族の範囲が非常に広くて、原則三親等以内の親族にまで調査をする事になるそうです。三親等って言うと「伯父・叔母・ひ孫・曽祖父」のラインです。3親等の人に扶養してもらうってのは現実的に無理でしょう。

 

⑤年金受給額が生活保護を受けられる程は少なくないケース

基準ラインは個々人の状況によっても変わりますが、生活保護をギリギリ受けられない年金受給者は結構大変なようです。

というのも、生活保護受給世帯は「医療費や税金、保険料」などを支払う必要が無いのですが、生活保護を受けていない世帯はこれらの費用を払わなければならないからです。すると、実質的な手取り額は生活保護をギリギリ受けられない世帯の方が生活保護を受けている世帯よりも少なくなるという矛盾が発生してしまいます。

 

 ⑥生活保護をあえて貰わないケース

プライドの高い人は生活保護を貰えるのに貰わない人もいるそうです。また、生活保護を受けている事を周りに知られるのが「不安・恥ずかしい」などの理由で受給申請を躊躇する人もかなりいるそうです。

 

⑦治療費がかさんで退職金を食いつぶすケース

基本的に75歳以降は後期高齢になってから医療費は現役世代の時よりも安くなるのですが、大病を患った場合には公的保険だけでは対応しきれない場合があります。高額療養費制度を使えば月間8万とか9万に抑えられるとは言え、それは公的保険を使える治療に限られます。家族が大病を患ったらどんな事をしてでも治したいと思うのが人情でしょう。金に糸目を付けずに治療すれば、例え退職時点で数千万円の貯金が有ったとしても一気に無くなってしまう可能性が有ります。

 

⑧認知症等で金銭感覚が破綻するケース

高齢になり痴呆が始まり、金銭感覚が狂ってしまう事が有るそうです。また、正常な判断が出来ずに振込詐欺に引っかかってしまいナケナシの貯金を使い込んでしまう・・・そんな事も有るそうです。よって、こういう事が起こらないように家族がサポートしてあげることも大事になってきますね。近くに親族がいればかなりちがってくるかもしれません。

 

 ⑨多額の賠償金等の請求で生活破綻するケース

賠償金でパッと思いつくのが、交通事故による高額な賠償金請求ですね。最近は対人事故の賠償命令で2億円とか3億円の支払いが命じられる事例も多く有ります。多額の賠償金を自分の資力だけで支払える人なんて殆どいません。しかし、損害保険料率算出機構のデータによれば2013年度における任意保険対人賠償保険への加入割合はたったの約73%自動車に乗っている人の実に約3割は任意保険に加入していない。もし、任意保険未加入の状態で事故を起こして高額の賠償命令が出てしまったらどうなるでしょうか。稼いだ金額の殆どは償いのために被害者に送金することになります。そんな状態では豊かな老後なんて夢のまた夢ですね。

 

⑩子供がワーキングプアでパラサイトのケース

厚労省の発表によれば現代の非正規雇用者の割合は労働者のうち約3割となっています。働き盛りの年齢である「25歳~34歳で27.4%35歳~44歳で29.0%」です。(出典:「非正規雇用」の現状と課題|厚生労働省)

 また「平成26年版 子ども・若者白書」によれば平成25年度における「1534 歳人口に占める若年無業者(いわゆるニート)」の割合は約2.2%。つまり100人のうち2人は全く収入を得ていない事になります。(出典:平成26年版 子ども・若者白書(概要版)内閣府)

もし、老後は夫婦二人分と考えて老後資金を用意していた場合には、当然子供の分の生活費が増えますから貯金は食いつぶされ、非常にしんどい暮らしをせざるを得なくなります。

 

⑪金銭感覚を変えられずに気づけば老後破産のケース

総務省の家計調査データ2013年版(世帯属性別の家計収支 4. 世帯主が高齢無職の世帯)によれば「高齢者無職夫婦世帯(収入がほぼ年金のみの世帯)」の毎月の収支は△57,592円の赤字となっています。これを年間ベースに置き換えると約69万円の赤字。

 年金収入だけでは毎月の支出を賄えず、ほとんどの高齢者無職夫婦世帯で貯蓄を取り崩しながら生活をしている事が伺えます。収入が減少しているにも関わらず現役世代の時と同じような支出を続けていれば、もっともっと赤字幅は増える事でしょう。

 「貯蓄額の事を気にせず消費ばかりしていて、気付いたら貯金が殆ど無くなっていた!」なんて事にもなりかねません。別に贅沢をしているつもりは無くても、こういう事態に陥る危険性は有るはずですから、毎月の収支にはしっかりと気を配って行きたい所です。

 

<まとめ>

 以上のような理由で老後破産状態になってしまう事が考えられます。いずれのケースも自分の身に降りかかってきても不思議では有りません。年金制度自体も今後厳しくなることは間違いありませんし、若いうちから老後破産しないための対策をとっておかないと、自分たちも同じような状況になってしまうかもしれません。

50代のうちに、セミナーなどで将来の様々なリスクについて学習する機会が必要だと思われます。

 

 

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