2月の風の便り
ついに日本にも新しい波が押し寄せました。
先週1月29日に日銀が「マイナス金利政策」を導入しました。 「マイナス金利」とは、普通は銀行にお金を預けると金利をもらえますし、お金を借りると金利(利息)を上乗せして返さなければいけません。「マイナス金利」とはこの常識が逆転するということ。
お金を預けると金利を取られお金を借りると金利がもらえる世界ということです。
既に欧州では欧州中央銀行(以下、ECB)など4中銀がマイナス金利政策を導入しています。しかし導入当初は銀行の融資促進や通貨安誘導など経済促進として一定の政策効果が期待できたものの、融資金利に引き下げなどが金融機関の収益圧迫につながるほか、一部の銀行では預金者の口座から逆に利子が徴収されるようになる事態も起き、物価上昇の効果は薄かったというのが現状のようです。
■欧州のマイナス金利の足跡
先駆けて導入したのがデンマーク。ユーロに対する通貨高を抑えるため、銀行からお金を預かる際の金利を2012年に初めてマイナスとしました。ちなみに現在の金利はマイナス0.65%。
一連の金融緩和策によりユーロ圏では貸し出しに底入れの兆しが出ていますが、原油安などによりデフレ圧力が高まっているそうです。ECBのドラギ総裁は今月、3月にも追加の金融緩和に踏み切ると示唆しています。
一方で、個人や企業への影響はどうでしょうか。スイスのUBS銀行が預金口座から手数料を徴収するなど一部で一般の預金者口座にマイナス金利を提供する動きもありますが、預金流出への懸念も強く現時点ではあまり広がっていないようです。逆に、住宅ローンを借りた場合の金利がマイナスになったこともあるということでです。
スウェーデン中銀は、銀行に資金を供給する際の金利をマイナスとしており現在はマイナス0.35%だ。スウェーデンでは不動産価格の上昇が続くなど、マイナス金利の弊害で資産バブルへの懸念も強まっています。
■今後の市況は?
金融市場では、日欧のマイナス金利に伴うドル高が米景気の失速につながるのではという懸念が急浮上しています。1月29日の米金利先物市場では年内の追加利上げは「なし」との見方が強まり、次の利上げは「17年2月まで後ズレ」と想定する取引が優勢となっています。
このように、市場の動揺がマイナス金利の広がりを呼び、ゼロ金利政策から続いている中央銀行頼みの風潮が広がっています。
世界経済は「不透明な中国経済、中東の原油安やIS問題、米国の失速」など経済の見通しは極めて厳しいと言わざるを得ません。
確定拠出年金などで投資をされている方は、今年はより慎重な運用を心掛けるべきでしょう。一方、住宅ローン利用者は固定金利に借り換える絶好のチャンスと考えることもできます。
今回の経済の流れもプラスに活用したいものです。