3月の風の便り

3月に入り春に向かう時期なのに世界は真冬に逆戻りしてしまった。ロシアは2月24日、ウクライナ東部への軍隊の侵攻を開始。プーチン氏は権力を握ってから20年以上が経過し、ウクライナ侵攻という最大の賭けに出た。欧州大陸の真ん中で地上戦を仕掛け、ウクライナの主権を堂々と侵し、1994年にロシアがウクライナの主権を尊重することを米英に確約した「ブダペスト覚書」を破ったことになる。

ロシア政府はウクライナ侵攻を正当化するメッセージの発信に躍起。一方、西側諸国は問題が深刻化しないことを期待している。だが、どちらもウクライナ侵攻が欧州とアジアの国際秩序を根底から揺るがしているという事実を覆い隠すことはできない。なぜ、プーチン氏はここまで大きな賭けに出たのだろうか。

多くの専門家はソ連崩壊後のロシアの不満に注目している。すなわち、①北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大、②米国主導で行われたイラク戦争やリビアのカダフィ政権崩壊、③将来的に隣国のジョージア(グルジア)やウクライナがNATOに加盟し、独裁国家のロシアが欧米型の民主主義に囲まれるーーなどだ。だが、もう一つ大事な視点が抜けている。プーチン氏は「西側の衰退」という物語を信じているのだ。一方で、プーチン氏が一番恐れているのは民主主義が自国の玄関先にまで迫ることだ。だから、ウクライナが独立国家として自らの意志で選ぶ権利を否定したいと考えている。これこそが、プーチン氏がウクライナの征服を命じた理由。

ウクライナの火種がヨーロッパ全土に拡大しないことをまずは願うばかりだが、原油などの高騰は世界的インフレを加速化させ、株式市場は暴落し、世界経済に冷や水を浴びせたが、当面は不安定な状況が続くと思われる。一方で中国の台湾侵攻の可能性も高まっており、パラ連ピック終了前後の中国の動きからも目が離せない。

2022年は波乱含みの一年になりそうな気配。まずはパニックになり判断を間違わないよう平常心を保つことを心がけよう。

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