4月の風の便り
女性活用がなぜこんなに進まないのか?
国際会計事務所グループのグラントソントン(本部ロンドン)が2016年に実施した調査によると、日本の中堅企業(従業員100~750人)で経営幹部に占める女性の比率が7%と、対象国36カ国中最下位となったそうだ。
国別に見ると最も高かったのは、意外にもロシア(47%)。アジアからはインドネシア(46%)、フィリピン(40%)、タイと中国(31%)の4カ国が上位10カ国に入った。日本は唯一の1桁台で7%と2004年の調査開始以来、10回連続の最下位という状況。
調査対象の、全36カ国の平均は25%。過去最高の水準を更新したものの、調査開始時の19%と比べても上昇幅は限定的。日本の水準は調査開始時点とほぼ変わらない上、経営幹部に女性がいない中堅企業が67%と対象国で最大だった。
■ダボス会議
ダボス会議を主催するスイスの研究機関「世界経済フォーラム」(WEF)で2014年10月、世界142カ国を対象に、男女平等の達成レベルを経済、教育、政治、健康の4分野から評価した「国際男女格差レポート2014」を発表。日本は142カ国中104位と低水準で、主要7カ国中最下位だった。
男女格差が最も少ないとされたのは、6年連続でアイスランド。2位がフィンランド、3位がノルウェーで、北欧諸国が上位を占めた。アジアのフィリピンは9位にランクインしている。
■クオーター制を導入せよ
一方、海外では、女性議員の比率を高めるため、候補者などの一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を多くの国が導入している。日本ではみんなの党などが採用しているのみで、民主党が導入を検討している段階。自民党は、安倍政権が「女性の活躍」を掲げているが、現時点では検討していないという。
外国ではクオータ制の採用国が100を超える。発祥は1970年代のノルウェーで、政党が候補者名簿の一定割合を女性に割り当てた。政党によるクオータ制導入はオランダや英国、南アフリカに広がる。一方、アルゼンチンやフランス、韓国などは、憲法や法律で女性候補者の割合を義務づけている。
■女性の登用を宣言せよ!
日本のGDPの伸び悩みの原因に一つに、「女性の活用の遅れが第一にある・・・」とデービッド・アトキンソン氏は著「新・所得倍増論」の中で述べていたが、私も同感だ。民間も政府も「女性登用」に対して、本気度が足りないことが最大の要因ではないだろうか。株主から指摘されるまで放置するのだろうか?。
「〇〇年までに、女性の管理職を〇割、役員を〇割登用する」と宣言しなければ、本気とは言えない。深刻な労働人口減少期を迎えているのに、高齢者の雇用や待機児童の解消で留まっているようでは日本の成長性は絶望的だ。もはや言い訳をしている猶予はないはずだ。
「女性の登用」に対して本気で取り組むリーダーが多く登場する社会が求められている。