5月の風の便り

五月の爽やかな風が吹いています。

さて、「平成」が終わり新しい時代「令和」が始まりました。世間ではGWで長期休暇に突入していますが、皆さんはどうお過ごしでしょうか?いい機会ですので平成時代を少し振り返ってみましょう。

1980年代の日本のバブル景気は平成バブルと呼ばれています。平成元年は1988年ですので、金融マーケット的には平成に入った時は既にバブルの終盤であったと言えます。日経平均のピークは平成2年(1989年)の最終営業日(大納会)であった1229日の38,915円(終値ベース)です。平成元年(1988年)は18日から始まっていますので、平成が始まって2年弱でピークをつけたことになります。

そして、平成の最終日は平成31年(2019年)430日で、平成は正確には304ヶ月ということになります。この30年間は「失われた30年」など、不景気・デフレの時代と呼ばれることも多いですが、本当にそうなのか実際のデータから検証してみたいと思います。(出所:IMFbloombergindex mundiのデータを参考)

 

■日経平均・株式時価総額

株式関連の指標では日経平均が30,159円から22,200(424日終値)に下落しています。

一方、株式時価総額は477兆円から582兆円に増加しています。これは、IPOが増えたことで上場している銘柄数が増えたことが主な要因です。この間の日本株の水準を比較する上では日経平均を見る必要があります。最安値の7,000円割れの水準からみると回復してきていますが、それでも30年前の2/3の水準です。株式の面では平成の30年間で大きくマイナスとなりました。

 GDP

国民総生産である名目GDP393兆円から557兆円に増加しているのは意外だと感じる方も多いのではないでしょうか。失われた30年と言いますが、経済規模は1.42倍になっています。但し、年率の成長率に置き換えると平均1.2%で、超低成長と言えます。欧米名目では4%前後の成長となっています。

よって、平成の30年間は経済の面で「失われた」とまでは言いませんが、ほとんど成長しておらず、欧米との相対比較では大きくマイナスとなったと言えます。

 

■出生数・人口

出生数は1974年以降は長期減少傾向が続いています。昭和48年(1973年)の出生数は200万人を超えていましたので、昭和63年(1988年)の131万人の時点で既に大きな減少となっています。昭和63年(1988年)までの約15年で35%の減少しています。昭和63年(1988年)から平成30年(2018年)の間は131万人から92万人ですので、30年で約30%の減少となっています。

日本の人口は2005年に初めてマイナスとなり、2006年は一度プラスになりましたが、2007年以降はマイナスが続いています。また、マイナス幅は年を追うごとに拡大しています。平成の30年間で人口問題はより悪い方に加速したと言えます。

 

■政府債務・政府債務対GDP

政府債務残高は30年で約6倍となりました。GDP対比でも3倍以上に悪化しています。かつては日本も政府債務対GDP比が100%を下回っていました。平成の30年間で日本政府の財政は大幅に悪化しています。

 

■米国の過去30年間

1988年と2018年米国各種データ比較、NYダウは10倍以上になっています。今では考えられませんが、1988年の米国株の時価総額は日本より下回っており、日本の70%の水準でした。2018年の米国の時価総額は日本の約5倍の水準まで拡大しています。

名目GDP3.7倍、人口も40%増加しています。この30年間で日米の経済・金融の立場は大きく変わってしましました。日本だけで見れば、「まずまず」かもしれませんが、一歩外から日本を見ると経済成長は止まりつつあり、人口問題が深刻化し、政府債務も拡大がとまらずかなりマズイ状況であらたらしい時代を迎えることに変わりありません。

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