7月の風の便り
じめじめとした梅雨の季節がまだ続いています。
このすっきりしない状態は、今の世界経済のようです。
6月は歴史が動いた月となりました。6月23日のイギリスの国民投票の結果、「EU離脱を選択」したのです。
EUの分裂はリーマンショック以降、ギリシャ、アイルランド、イタリア、スペインなどの国々の
「経済危機」をきっかけにささやかれ続けていました。
特に記憶に新しいのは2015年3月のギリシャの経済破たん危機の救済の際に、EU内で不協和音が大きくなりました。
またユーロ圏の「移民受け入れ問題」では、「地元住民の雇用の喪失」と「治安の悪化」といった社会問題が深刻化。
さらに、とどめを刺したのは、やはり「IS(イスラム国)」による「世界同時テロ問題」。フランスのパリの無差別テロではイスラム教徒キリスト教という「宗教対立」まで絡め非常に複雑難解な状況を作り出してしまっています。つい6月28日にもトルコ最大の都市イスタンブールのアタチュルク国際空港で自爆テロで多数の被害が出るなど連鎖する形で世界に拡散しています。
以上のような要素を背景に、ヨーロッパでは、国民が苛立つ状況が長きにわたり続いていたと思います。
(人間は苛立つ精神状況では、冷静な判断ができにくい生き物でもあります。多くの人が「ぶち壊したい衝動」を覚えている中で、「英国の国民投票」が行われたのです。)
「ベルリンの壁が1986年に崩壊」し、ヨーロッパは春の時代を迎えユーロ経済圏は5億人の規模ま拡大したのがつい最近です。
しかしユーロはこの10年ですっかり状況が一変してしまいました。ヨーロッパの春は30年続かなかったことになります。
今回の英国が不幸たっだたことは、実施前にEU離脱反対をリードしていたキャメロン首相が「パナマ文書」の脱税容疑で辞任問題にまで発展しました。
このことが離脱派にとっては有利に働いてしまったことは偶然とはいえ、まさに「運命のいたずら」のようです。
我々にかかわりがある問題として「21世紀入って加速していた世界のグローバル化の流れが今回のEU問題で大きく変わる」ことになりそうです。
私も今年は「動乱の年」と考えてきましたが、これは避けられそうにありません。
11月の米国の大統領選挙へむけて、この「分裂」流れは、アメリカ国民が「トランプ」という「ジョーカー」を引いてしまえばさらに加速していくでしょう。
年内は世界の政治と経済から、目が離せそうにありません。
ライフマネジメント研究所
坂田 貴和